StaatAppで因子分析を行う方法を紹介します.SaatAppではCSVファイルやExcelファイルを読み込み,クリック操作だけで因子分析を行うことができます.
StaatAppについては以下をご覧ください.
アプリの基本操作
StaatApp基本操作(データの入出力など)は以下のページで解説しています.
分析例として用いるサンプルデータは以下のようになります.

因子分析の実行
① 因子分析用ウィンドウの表示
メニューバーから「多変量解析」→「因子分析」を選択します.

② 変数の設定
因子分析用ウィンドウが表示されたら,未選択覧から因子分析の対象とする変数名を選択します.

③ 固有値の計算(任意)
変数を選択したら固有値計算の「算出」を選択することで,選択した変数分の固有値を求めることができます.固有値は因子数を決定する際に用いますが,求める必要がない場合は行わなくても問題ありません.

④ 詳細設定(任意)
因子数・軸の回転方法・因子抽出方法の選択を行います.デフォルトでは以下の値が設定されています.
・因子数:2
・軸の回転方法:varimax(バリマックス回転)
・因子抽出方法:最尤法
⑤ 解析実行
設定が完了したらツールバーの「解析実行」ボタンをクリックします.解析項目に合わせた内容が解析結果に表示されます.
因子負荷量・共通性を選択した場合は以下のように表示されます.ML1とは第一因子を意味します.

寄与率・累積寄与率を選択した場合は以下のように表示されます.

バイプロットの作成
バイプロットのドロップダウンメニューから「x軸」と「y軸」に設定する因子を選択します.以下の図は「x軸」は第一因子(=ML1),「y軸」は第二因子(=ML2)を設定した例です.

「グラフ作成」を押すと以下のような散布図が表示されます.表示されたグラフ上部のメニューを選択することで,メモリや軸ラベルの設定,画像の保存を行うこともできます.

変数設定や詳細設定を変更して再度バイプロットを作成する場合は,「解析実行」を行ってから「グラフ作成」を行ってください.
補足① 結果の見方
出力結果と簡単な説明は以下になります.
出力項目 | 概要 | 解釈例 |
因子負荷量 | 各因子と各変数の関連性の大きさ | 第一因子では自己成長の因子負荷量が大きい. ➔ 第一因子は自己成長と関連性が深い因子 |
共通性 | 各変数の因子モデルへの影響度 | 休みの共通性が小さい. ➔ 因子分析の対象から外しても良さそう. |
寄与率 | 各因子の説明力 | 第一因子の寄与率=0.402. ➔ 約40%の情報を説明できている. |
累積寄与率 | 寄与率の合算値 | 第ニ因子までで約65%の情報を説明できている. ➔ 60%を超えているため良い因子モデルと考えれる. |
バイプロットは各因子の因子負荷量のベクトル表記と,因子得点をプロットした図になります.バイプロットの見方や,バイプロットを用いた”軸のネーミング”は以下のページで詳しく解説しています.
補足② 詳細設定について
① 因子数
因子数は固有値を計算することで決めることができます.一般的には固有値が2以上の変数の数を因子数とします.例では,固有値が2以上の変数は2つであったので因子数は2として因子分析を行います.
② 軸の回転方法
軸の回転とは,変数に対して因子の当てはまりが良くなるように原点を中心に座標軸を回転させることです.
軸の回転方法やその他の回転方法についての詳細は以下のページの補足で解説しています.
③ 因子抽出方法
因子抽出方法は因子モデルの計算方法になります.代表的な方法は以下の2つになります.
・最尤法:多変量正規分布を用いた最尤推定を行う.基本的にはこの方法で因子分析を行う.
・最小残差法:残差を最小にするように計算を行う.Rではデフォルト設定.
補足③ 統計アプリStaatAppとは
StaatAppは計算仮定が複雑な解析手法を,誰でも手軽に素早く行なうことができるアプリです.StaatAppの詳細は以下のページをお読みください.
補足④ アプリの仕様について
アプリではPythonのskleranライブラリを用いて因子分析を行っています.skleranはPythonで多変量解析や機械学習を行なう際に使用される一般的なライブラリです.
以下の公式ドキュメントに詳細な仕様が記載されています.
補足⑤ 起動時に発生するエラーについて
StaatAppを起動した際に,以下の画面が表示されて起動しない場合があります.

原因は起動しているユーザ名に日本語が含まれているためです.対応方法は以下のページで紹介しています.