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【論文実践】生存時間分析(Kaplan–Meier・ログランク・Cox回帰) – 生存曲線から多変量解析まで論文仕様で解説(大腸がん術後研究例)

本記事では,StaatAppを用いて,生存時間分析(Kaplan–Meier曲線,ログランク検定,Cox比例ハザード分析)を一通り実行し,患者背景の確認から生存曲線の作成,多変量解析までを一連の流れで解説します.あわせて,論文にそのまま使用できる記載例(表・図・本文)も紹介します.

「生存分析を一通り実行したいが,全体の流れが分からない」「結果は出せるが,論文としてどう書けばよいか分からない」という方に向けた実践的な解説です.

》StaatAppとは

研究設定例

本例では,Stage II/III 大腸がん術後患者における補助療法の違いが無再発生存期間に与える影響を検討します.生存時間分析としてKaplan–Meier生存曲線,多群比較(ログランク検定・一般化ウィルコクソン検定),Cox比例ハザード分析を実施します.研究テーマとサンプルデータの設定は以下になります.

●研究テーマ
 「Stage II/III 大腸がん術後患者における補助療法別の無再発生存期間の比較」

設定

 ・対象:60名(Stage II/III 大腸がん術後患者)
 ・補助療法3群として以下の条件を設定
   経過観察のみ:20名
   S1(S-1補助化学療法):20名
   CAPOX(カペシタビン+オキサリプラチン):20名
 ・アウトカム
   無再発生存期間,月
   イベント発生有無:再発=1,打ち切り=0
 ・共変量(Cox比例ハザード分析で使用)
   年齢
   性別
   病期:II / III
   CEA高値の有無
   PS 1以上の有無
 ・尺度特性
   生存時間データ(打ち切りを含む time-to-event データ)

StaatAppでの統計処理手順

Step1:データの取り込み

StaatAppを起動して,データを取り込みます.本例で用いるサンプルデータは以下のようになります.

生存分析のサンプルデータの取り込み

データの取り込み方法は以下のページで紹介しています.

》StaatAppの基本操作

Step2:記述統計量の算出

基本統計量を算出します.学術論文ではTable1と呼ばれる患者背景として,記述統計量を算出します.「基本統計量」→「基本統計量」で患者背景を算出する画面に遷移します.

データ選択画面で,ID以外の変数を選択します.

データ選択画面

サブグループに”術後方針”を選択します.

サブグループの選択

「患者背景」設定画面で,「患者背景」をONにして以下のように各データ種別にあった項目に設定します.

患者背景のデータ選択

「解析実行」ボタンをクリックして,以下のように術後方針ごとの基本統計量を算出します.

患者背景の算出結果

Step3:生存曲線の作成

補助療法3群それぞれについて,生存曲線機能を用いてKaplan–Meier法による無再発生存曲線を作成します.「その他」→「生存時間解析」→「生存曲線」を選択します.

生存曲線の選択

データ選択画面で以下のように,経過時間,イベント発生,群名列を選択します.

生存曲線のデータ選択

グラフ設定画面で「Num at Risk」をONにして,解析実行ボタンをクリックします.以下のように生存曲線が表示されます.

生存曲線の作成結果

Step4:群間比較

3 群間の無再発生存期間の差は,ログランク検定に比較します.生存曲線作成時に解析結果に以下のような追跡期間の要約と検定結果が表示されます.

生存時間分析の群間比較結果

ログランク検定のp値が0.05以下のため,術後方針間で生存曲線に有意な差があることがわかります.

Step5:Cox比例ハザード分析

再発リスクに関連する因子を検討するため,Cox比例ハザード分析を行います.

Cox比例ハザード回帰分析では数値データのみ扱うことができるので,事前にカテゴリデータのダミー変数に変換します.

ホーム画面のツールバーから「置換」ボタンを選択します.サンプルデータでは性別・病期・術後方針がカテゴリデータなのでそれらを選択します.ダミー変数を作成する場合,「One-Hotエンコーディング」をONにします.

置換機能によるダミー変数の作成

実行すると以下のように選択したデータが0/1のダミー変数に変換されます.

ダミー変数の作成結果

メニューバーから「その他」→「生存時間分析」→「Cox比例ハザード回帰」を選択して,Cox比例ハザード分析用のウィンドウを表示します.

Cox比例ハザード回帰分析の選択

以下のように経過時間,イベント発生,共変量を選択します.※ダミー変数は全カテゴリ-1を共変量とします.術後方針は3カテゴリなので,CAPOXとS1を共変量といて選択します.

Cox比例ハザード会期のデータ選択

解析実行すると以下のように結果が表示されます.

Cox比例ハザード回帰の解析結果
Cox比例ハザード回帰の解析結果(パラメータ)

特にパラメータに着目すると,CAPOXはp値が0.05以下,ハザード比が0.116であることから,術後方針がCAPOXの患者群のハザードは88.4%低下することが有意であることがわかります.

S1も同様にハザードが72.8%低下させることがわかります.

ここまでで,StaatAppを用いた解析手順の説明は終了です.

日本語論文の記載例

解析結果をもとに,日本語論文への記載例と添付する表のサンプルを紹介します.

対象と方法(Methods)

本研究は,Stage II/III大腸がん術後患者を対象とした後ろ向き解析である.対象は60例とし,補助療法として術後観察,S-1,CAPOXの3群に分類した.

アウトカムは無再発生存期間(disease-free survival: DFS)とし,手術日から再発または最終観察までの期間と定義した.再発をイベントとし,最終観察時点で再発が認められない症例は打ち切りとした.

年齢,性別,病期(Stage II/III),CEA高値の有無,Performance Status(PS)1以上の有無を共変量として収集した.

連続変数は平均値 ± 標準偏差,カテゴリ変数は人数(%)で示した.無再発生存期間は Kaplan–Meier法により推定し,群間比較にはログランク検定および一般化ウィルコクソン検定を用いた.

再発リスク因子の検討にはCox 比例ハザードモデルを用い,年齢,性別,病期,補助療法,CEA高値,PS 1以上の有無を説明変数として投入した.治療群は術後観察群を,性別群は女性を,病期群はStageⅡをそれぞれ参照カテゴリとした.

結果はハザード比(hazard ratio: HR)および 95%信頼区間(95% confidence interval: CI)で示し,有意水準は両側 5% とした.

結果(Results)

1. 患者背景

患者背景を表1に示す.本研究には60例が含まれ,術後観察群,S-1群,CAPOX群はいずれも20例であった.年齢および性別分布に大きな偏りは認められなかった.イベント(再発)は術後観察群で比較的多く認められた.

患者背景(論文掲載例)

2. 生存曲線

Kaplan–Meier法による無再発生存曲線を図1に示す.術後観察群では早期からイベントの発生が多く認められたのに対し,CAPOX 群では比較的良好な生存曲線が得られた.S-1群は両群の中間的な傾向を示した.

生存曲線(論文掲載例)

3.群間比較(検定)

3群間の無再発生存期間の差を検討したところ,ログランク検定において有意差を認めた(p = 0.008).また,一般化ウィルコクソン検定でも同様に有意差が認められた(p = 0.001).これらの結果から,補助療法間で無再発生存期間に差があることが示唆された.

4. Cox比例ハザード分析

Cox比例ハザード分析の結果を表2に示す.病期IIIは再発リスクの有意な増加と関連していた(HR 26.07,95%信頼区間 6.52–104.19,p < .001).
また,CAPOX群は術後観察群と比較して再発リスクの有意な低下を示した(HR 0.12,95%信頼区間 0.04–0.32,p < .001).
CEA高値も再発リスクとの関連が見られるが,PS1以上は再発リスクとの有意な差が見られなかった.

ハザード比(論文掲載例)

表はStaatAppの解析結果をコピーして,Excelなどで体裁を変更することで作成可能です.ただし,以下の点に気を付けると良いです.

 ・小数点は桁数を統一(通常2〜3桁)
 ・p値は,p = 0.0044 または p = 0.004(3桁丸め)
 ・95%CIは角括弧表記が一般的
 ・効果量は符号付きで報告(方向性が分かる)

記載内容のサポート

StaatAppでは自動考察機能を用いることで,解析結果の解釈や解説を取得することができます.今回分析で利用した基本統計量,生存曲線,Cox比例ハザード回帰分析でそれぞれ自動考察機能を利用可能です.

Cox比例ハザード回帰分析の場合,以下のように結果の解釈から,改善点まで取得することができます.

Cox比例ハザード回帰分析の自動考察例

※ 自動考察機能はプレミアムプラン限定の機能となっています.

》自動考察機能

統計アプリStaatAppとは

StaatAppは計算仮定が複雑な解析手法を,誰でも手軽に行なうことができるアプリです.StaatAppの詳細は以下のページをお読みください.

初めての方はほぼ全ての機能を無料で利用できるので,お気軽にダウンロードしてお使いください!

》統計解析アプリStaatApp

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