徹底解説

時系列分析

時系列分析とは

時系列分析とは

時系列分析は,時間とともに変化するデータ(時系列データ)の性質を分析する方法です.例えば,株価や気温などは,時間が経過するにつれて変化するデータであり,その変化のパターンを分析することで将来に役立てることができます.

》時系列データについて詳しく

統計学ではあるデータに対して,要因を分析し予測を行う手法として重回帰分析などの多変量解析が一般的です.多変量解析と時系列分析の違いは扱うデータです.

多変量解析と時系列分析の違い

多変量解析では時系列データの1時点のみを切り出したデータ(クロスセクションデータ)を使用します.クロスセクションデータでは時間の影響を考慮しない代わりに,様々な要因の影響度を調べることができます.

時系列データとクロスセクションデータを合わせた,つまり様々な要因の複数時点のデータをパネルデータと言います.パネルデータに対しては固定効果モデルなどの分析を行います.

時系列データの構成

時系列分析を行う際の基本は,元のデータ(原系列)を3つの構成要素に分解して考えます.逆に時系列データは3つの構成要素が足される,もしくは掛け合わされていると考えて分析・予測を行います.

時系列データの構成要素

・長期変動(Long-term trend):長期変動は,データ全体における長期的な増加傾向や減少傾向など,基本的な動きを表します.例えば,株価データの場合は長期的な上昇傾向がある場合に,その上昇傾向を表す要素が長期変動に相当します.

・季節変動(Seasonal variation):季節変動は,季節変動や定期的なサイクル・周期性を表します.例えば,四半期ごとの売上データでは第4四半期に最も売上が伸びる傾向があるため,この傾向を表す要素が周期成分に相当します.

・不規則変動(Irregular variation):不規則変動は,上記2つの要素に分解された後に残る部分で,予測不可能なランダムな変動を表します.例えば天候や災害,その他の予測できない要因による影響を受けることがあります.このような変動は,トレンドや周期成分の影響から解析されているため,不規則成分として扱われます.

時系列分析の手順

時系列分析の手順

様々なデータで時系列分析で扱うためには,まずデータの整形を行う必要があります.特に時系列分析では分析する値に加えて,その値が観測された時点を示すデータを分析が行える形式(datetime型など)で入力し直す必要あります.

作成した時系列データに対しては折れ線グラフなどを作成することで可視化を行い,長期傾向や季節変動を把握します.さらに詳細に特性を調べるためには,移動平均や自己相関係数などの統計量を求めます.

観測したデータから未来のデータを予測するためには,モデル(予測式)作成を行います.時系列分析で用いるモデルは古典的な自己回帰モデルから近年主流のProphetまで様々なモデルがあります.

モデルを作成したらそのモデルの精度を調べために,残差や情報量基準を求めます.精度が低い場合はモデル作成で用いたパラメータの最選択や,異なるモデル式を選択してモデル作成を行います.許容できる精度のモデルを作成できたら,そのモデル式を用いて将来予測を行います.

ここまでが時系列分析の一般的(丁寧め)な手順になります.実際は時系列分析の目的に合わせて,移動平均を図示するだけで終えたり,いきなりモデル作成→将来予測を行う場合もあります.

時系列データ特有の分析方法

時系列分析の中でも特徴的な分析方法について紹介します.

① 特性を調べる(記述統計)

時系列データにどのような特徴があるかを,移動平均や自己相関係数を用いて調べます.時系列データの構成要素である,長期変動や季節変動について調べることができます.

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② 将来予測を行う(モデル作成)

時系列データの特徴から将来予測を行うためのモデル式を作成します.モデル式の作成方法には自己回帰型モデルや状態空間モデル,機械学習モデルなど様々な方法があります.最も古典的かつ学術研究で一般的な手法は自己回帰型モデルになります.

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